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【開催報告】atrust(あとらすと)― 信頼を、共につくる。― #1 「信頼を語る夜」

イベント

11/27(木)に、新しいイベント、atrust(あとらすと)を開催しました。
イベント概要はこちらのイベントページをご覧ください。

イベントは、真剣なお話しから、その後の交流会では、和気あいあいとした雰囲気でお届けました。

当日の模様を簡単にまとめましたので、ぜひごご覧ください。

〈イベントサマリー〉

「atrust」(あとらすと)始動! 共創の土台となる「信用」と「信頼」を語る

オフィスat×ウィズスクエアが問いかける、人と人との「関係性の質」

2025年11月、福岡にて、株式会社オフィスat(寺島氏・安倍氏)と、コミュニティ型レンタルオフィス「ウィズスクエア」を経営するアトラスト(小野氏)による交流イベント「atrust」が第1回目を迎えました。

イベントは、現代社会で改めて重要性が増す「信頼」というテーマを深く掘り下げ、参加者との対話を通じて、これからのビジネスや人生における「関係性の質」を追求する趣旨で開催されました。本稿では、登壇者3名の自己紹介と、熱のこもったディスカッションの模様をお届けします。


Part 1:登壇者紹介 — 企業と社会へ「女性の声と力」を届ける

寺島 氏(株式会社atrust代表/女性視点マーケター)

寺島: 皆さんこんばんは。忙しい中、ありがとうございます。

株式会社オフィスアットの代表を務めております、寺島と申します。私は「女性視点マーケター」として、消費者である皆さんの頭の中をぎゅっと覗き、**「どんなことを考え、どう行動しているのか」**を日々研究しています。

また、NPO法人ママ研究所の理事も務めており、「ママドラフト会議」という、ママと企業を橋渡しをするイベントを年に何回か実施しています。プライベートでは、子育てを終えつつある傍ら、現在も介護の真っ只中にいます。

変わった経歴としては、カバディの日本代表初代キャプテンを務めていました。インドの国技であるカバディという変わった競技の経験があります。

オフィスatのミッション

オフィスatは、**「女性の声と力を企業へ社会へ」**をミッションとしています。現場と一緒にワクワクする未来を想像する、女性視点を大切にしたマーケティング会社です。

企業が抱える課題(商品サービスの販売、採用、社内のコミュニケーションギャップなど)に対し、私たちは**「共創コミュニケーションマーケティング」**という手法で、企業さんと一緒に課題解決に取り組んでいます。

特に得意としているのは、複雑な女性の購買心理や心理行動のインサイト分析です。

また、女性活躍は単に女性のためだけではなく、社会課題解決の「ピン」(ボーリングでいう一番前のピン)だと捉えています。そこをバーンと倒すことで、多様な方々の社会課題解決のヒントになるという思いで活動しています。

福岡県での女性人材育成のためのネットワーク形成事業や、北九州市の働く女性の声を拾う「ぶっちょ女子」事業など、競争(共に作る)の事例をクライアントさんと共に行っています。

阿部 氏(株式会社オフィスat 共同経営/ハピレボプロデューサー)

阿部: 皆さんこんばんは。オフィスatを寺島と一緒にやっております、阿部と申します。

私の問題意識は、人材派遣や広告業界にいた20年以上前、メーカーも広告も男性ばかりでユーザーの声(特に女性)がなかなか聞いてもらえない、うまく説明できない「ずれ」を感じていたことです。これが、女性視点のマーケティングをパイオニアとしてやっていた広島の「ハー・ストーリィ」という会社に足を踏み入れたきっかけです。

私の経験で、人のマネジメントや、人に心地よく働いてもらうという人材系の仕事の経験が、今の顧客を大事にするマーケティングにも大いに生きていると感じています。

私のライフワークは「企業と女性と、そして働く、ビジネス」というところに全て繋がっています。アルバイトから派遣社員、起業、テレワークなど、多様な働き方を経験してきました。

社会活動としては、若者の就労支援団体の理事や、「昭和の価値観をぶち壊し、生きとした大人を出す」をミッションとするライフシフトジャパンでKXオーガナイザー(会社トランスフォーメーション)を担っています。さらに、女性役員を増やす活動もしています。

オフィスアットは2014年に2人で立ち上げましたが、私たちの出会いは2000年初頭にさかのぼります。

初期の活動では、派遣をしていたときに感じた、非正規の主婦や女性たちが持つ力が埋もれているという問題意識から、「主婦の力をみえる化」するプロジェクトをたくさん行いました。企業の方々に対し、主婦たちは独身時代バリバリ働いていたのだから、何も変わっていないことを訴えたいと思っていました。

小野 氏(atrust主催/ウィズスクエア経営者)

小野: 皆さん、こんばんは。本日はお忙しい中お越しいただきましてありがとうございます。

私は「孤独のない社会を作りたい」という思いで、15年前に起業しました。

現在は東京と福岡で、コミュニティ型のレンタルオフィスやコワーキング、貸会議室を運営しています。4年ほど前からは、北九州の門司でコレクティブハウス(コミュニティ型共同住宅)事業も始めました。

私の唯一の自慢は友達です。日本地図の青いエリアは、明日一文無しになっても泊めてくれる、ご飯を食べさせてくれる友人がいるエリアです。人との繋がりだけが私の取り柄であり、私にとっての唯一の財産です。

今年の挑戦は、反省から来ているものがほとんどです。全ては自分の「心のありよう」なのだと改めて知りました。今は、人間を鍛える塾である「咢堂塾」に通ったり、成功している経営者がどんな失敗をどう乗り越えたのかを学んだりしています。

特に嬉しかったのは、門司のコレクティブハウスに人が揃い、絆が生まれ始めたことです。実は、この入居者の方(林さん)との出会いが、今日この場にいるオフィスアットさんとの出会いに繋がっています。

atrust開催の決意

今回、素晴らしい阿部さんと寺島さんというお二人との出会いを、1年かけて共有したいと思い、「atrust」の開催を決めました。

事業に限らず、人生も「誰と関わって生きていくか」が幸せに繋がると私は思っています。私の会社名にも入っている通り、**「信頼(トラスト)」**が非常に重要です。お金もスキルもない中で起業し、ビジネスを続けてこられたのは、人様からいただいた信頼のおかげです。

この会では、信用から信頼へ移行するためのメカニズムや、感情、コミュニケーションがどう関わるかを、皆さんと一緒に考え、良いパートナーシップを見つけたいと思っています。


Part 2:特集テーマ — 共創の土台となる「信用」と「信頼」の定義

セッションでは、登壇者が考える「信用」と「信頼」の違いについてトークが交わされました。

小野: 私が以前文献で調べた話なので正しいか確実ではありませんが、信用は過去の実績やエビデンス、担保(銀行の信用など)があって成り立ちます。一方、信頼は何も担保がなくても、「この人は私を裏切らない」と無条件で信じることです。信頼は、赤ちゃんと親との関係性のように、キャッチボールの中で養われるもので、12歳までに養われないと難しいという話も読みました。

寺島: マーケティングの立場から見ると、私たちが指標で使う「6つの価値」に置き換えられます。

  • 信用は、一番ベースとなる「基本的な価値」です。商品・サービスの品質や、期日を守る、嘘をつかないといった、スペック的・ベース的な部分です。
  • 信頼は、その上に積み上がる「便宜的価値」や「情緒的価値」といった価値です。これらは、顧客との関係性の中で生まれる、あるいは深くなる価値だと考えています。

安倍: 「約束を守る」という行為一つをとっても、期日にきちんと返済するという実績は「信用」につながりますが、実績がなくても、この人なら守ってくれると感情的に思えるのは「信頼」かもしれません。大企業にいるといった「後光効果」で評価されるのは「信用」ですが、人間的に信頼できるかはまた別の話ですよね。

信頼を育むための行動原理

では、登壇者自身は信頼を育むために、どのような行動を意識しているのでしょうか。

小野: 私はシングルマザーとして17年間子育てをしましたが、社会に出た時、**「家族のための仕事なんだから、家族を優先する」**と決めました。以前の夫は家族のために一生懸命働いたにもかかわらず、仕事で子供との約束(運動会など)を破ってしまい、子供はがっかりしたんです。家族の約束を破ってしまうのはどうなのかと考えたので、私は何があっても子供を優先させようと心がけました。

寺島: オフィスatの働き方が象徴的かもしれません。うちの会社は社員が私と阿部の2人だけで、業務委託で全国の女性たちとオンラインでチームを組んで仕事をしています。

私たちが最も大切にしているのは**「関係性の質」**です。強みばかりを誇張する人よりも、自分の弱みや「これできません」と言える、等身大の自分を表現できる方を信頼します。なぜなら、「できないことが分かっている」ことは、ある種の強みになるからです。お互いの時間、能力、性質の「でこぼこ」を尊重し合い、どう繋がるかを向き合ってきました。

安倍: 私は、人から何か情報をもらった時(例えば旅行先の美味しい店など)、必ずその後の報告(フィードバック)をするように心がけています。もらいっぱなしにせず、感謝を伝えることが大切だと思っています。

また、高校時代、親から「家族は引っ越すが、あなた一人暮らしで残るなら残っていい」と聞かれた経験があります。16歳でしたが、親から信頼されていると感じ、その経験が**「もう絶対裏切れない」**という意識を植え付けました。

現代社会における「信頼」の危機

小野: 今、AIやネットが発達し、何が本当で嘘か分からない情報や詐欺が横行しています。

だからこそ、すぐに売上にならなくても、**「信用や信頼」**について真剣に考える必要があると思ったのです。父が私に「信用や信頼はものすごく時間と努力がかかるが、失うのは一瞬だ」と教えてくれたように、私たちは今、これを大切に育んでいかなければなりません。

寺島: 私たちオフィスatがテーマとしている「競争(共に作ること)」も、信頼なくしてはあり得ません。信用が土台にあって信頼が生まれ、信頼があるからこそ、共に未来を作れるのです。AIの中に未来があるのではなく、人との結びつき、そこから生み出せるものにこそ本当の未来があると考えています。


Part 3:参加者とのネットワーキング

その後、交流の時間へと移り、集まった多種多様な参加者が自己紹介を行いました。

参加者の声(抜粋)

  • A 氏(ソーシャルビジネス)

シングルマザー支援(グラミン日本)に関わり、信頼できる関係性を築きたい。

  • B氏(広告)

会社でダイバーシティ推進の活動を行っている。

  • C氏(コレクティブハウス住民)

小野氏との出会いがオフィスatへのご縁に繋がった。元県庁職員。孤立や孤独の課題解決のために入居し、小野さんの人柄に触れて良い場所に越せたと感じている。

  • D氏(フリーランス)

動画編集や広報業務を担当。YouTuber、主婦、ライバーなど5つの顔を持ち、今後は講演家としても活動したい。

  • E氏(神職)

ウェブコンサルから転身。神社のホームページを作ったご縁で、昨年神職の資格を取得した。

  • F氏(リアル店舗運営)

ウィズスクエアのオープニングからご縁があり、新しい事業を通じて学びたいと参加。真面目な会に驚きつつも、話がバシバシ入ってきた。

  • G氏(ソーシャルビジネスへシフト)

受刑者の社会復帰支援をされている師匠に影響を受け、会社売却を決め、ソーシャルビジネスへ舵を切る。柔道場の再建や子供食堂を開催中。

  • H氏

招待者の森氏に「とにかく来て」と言われ、何もわからず参加。「分からないけど来る」ことが信頼関係だと感じた。


小野: 私のところには「こういう人を紹介してほしい」という相談が毎日来ます。しかし、「小野さんじゃなきゃダメ」という状況ではなく、**共通の思いを持つ人たちの「信頼の輪」**が広がれば、可能性は最大化できるはずです。

今回の会は、私たちが答えを探している最中であり、皆さんと一緒に「良い関係性」とは何かを考え、実体験を共有し合いながら育てていきたいと思っています。

安倍: 今後は、今回のテーマである「信用から信頼」という言葉の定義を真剣に掘り下げ、議論する場を設けていきたいと考えています。


イベントは、参加者全員が相互の信頼関係を深めることへの期待を共有し、交流の時間へと移行しました。

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